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子育て科学アクシスブログ


地区大会の話

上岡です。

ラジオから「今、高校演劇が熱い」という、聞きなじみのない言葉が聞こえてきました。なんでも、全国大会で最優秀作品に輝いた作品が映像化される動きもあるとのこと。

 
なんてことだ!

 
世の中は変わるものですね。外で電話ができる時代が来るなんて思ってもみなかったし、野球が地上波で放送されなくなるなんて思ってもみなかったし、高校演劇がラジオの話題にあがる日がくるなんて30年前の私は想像だにしておりませんでした。

「男子なのに演劇やってる、うける~」とコソコソ言われる高校時代でした。文化祭で上演しても、見に来てくれる人は友達だけでしたし。自分はとても楽しかったのですが、白球を追い掛けたり、大勢で大きな音を奏でる連中とは比べ物にならない注目度の低さでした。

うだるような暑さの中、地区大会会場まで行き、照明や音響を使ったリハーサルをし、小1時間の本番を演じ切り、終了後は客席からの生質問に答え、ロビーにある大きな方眼用紙に感想を書かれます。そして地区大会最終日に県大会出場の切符を得る高校名が発表される。とてもエキサイティングな夏々でした。

記憶に残っているエピソードが幾つか。

地区大会での強豪は私立女子高校です。私は部員10名にも満たない公立高に所属していたのですが、基本、私立は演劇部員がめちゃくちゃ多く、大人数の出る迫力ある舞台を上演できるという、選択肢の広がりがあります。興味深かったのは、「強い高校は、裏方こそが花形」という話を聞いたことです。演劇となれば、「役者が花形!」と思ってしまいがちですが、照明スタッフや音響スタッフがまず決まり、余った連中で役者を決めていたそうです。これって大学演劇を関わってから、わかってきました。照明の当て方(場の表現の仕方)、音響の選曲、には高いセンスが求められることを知ったからです。照明も音響も、役者と同様に、場を作る要因ということです。

 
もう1つのさわやかなエピソード。ファンがあらわれたことです。尖っていた1年生の私は、友達から「お前の演技を見て、『お前と話したい』って言っている他高の女生徒がいるぞ」と言われても「いや、忙しいし」と断っていました。タイムワープ理論が実現したらと、現在の上岡Aは高校時代の上岡Bをとっつかまえて説法をするような出来事です。ちなみに、上岡Bは不思議なことを信じがちな少年だったので、「未来から来た私だ」と上岡Aが現れたらすんなり聞く耳を持ち、指示に従い、「さっきは忙しくって断ってごめんなさい。僕と話したいと言ってくれてありがとう。なに?役立てられればいいんだけど」と言いに行けたと思います。

そんな上岡Bも3年生になりました。高校最後となる作品の上演が終わり、他の高校の作品を見ようと会場をブラブラしていました。すると他高の女生徒が近づいてきて「1年のときから知ってます」「ファンです」「上岡さんは舞台だと大きく見えるんです」と。

尖りが自分に向いていないことを悟り、随分経過していた上岡Bは普通に嬉しくて少しお話して一緒に「写ルンです」で写真も撮りました。

最近、その写真を実家で見つけました。なにをどうしていいかさっぱりわからないシュチエ―ションに入り込んだ上岡Bは、ツーショットなのに不自然な距離感をその子と保ち、体もその子から離れるように斜めに傾き、相手の子も私から離れるように傾き。

上岡Aが現れても、どうしようも出来なかったと思います。

 
注目度の低い部活でしたが、私はぞっこんの部活でした。ぞっこんだといろんなエピソードがくっついてきますね。

 
上岡