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なぜ?がなるほど!に変わる本 ― 知ればなかよし発達障害のお友達


第14回「教員・保護者向け解説 (2)発達とは-発達障害のできかた-」

発達障害の症状は、「発達の過程がうまく行かないこと」そのものであり、発達が盛んに行われる子どもの時代に現れることが大部分です。中でも「脳の発達」に同年代の他の子どもとの違いが見られるのが特徴です。ですから、発達障害を理解するためにはまず発達、特に「脳の発達とは」を理解しなければなりません。
 
脳は、いろいろなことを行っている、人間にとって極めて大事な臓器なのですが、これは生まれたときにはほとんど機能しておらず、成長するにつれ、どんどんとその出来ることが増えてきます。つまり、赤ちゃんが「人間」として生きることができるようになるために必要な能力、そのほとんどすべては生まれた後で脳が「発達」して獲得されるのです。
 
生まれたばかりの赤ちゃんは、極めて未熟です。だから、姿勢も自分で定められず、昼夜の区別も付かず、食事も自分では摂れない、当然言葉もしゃべれません。それが、次第に睡眠と覚醒のリズムがつき、自分の体を自分で支えることができるようになり、食事を定期的に摂ることができるようになり、自分ひとりで歩くことも可能になります。さらに、生後一年ごろからは言葉をしゃべるようになり、物事を覚えたり考えたりできるようになります。その後3歳ごろからは、周りの人に働きかけたり、集団で行動したりすることも出来るようになり、6歳ごろからは、複雑な学習も可能になってくるのです。こうやって、大昔から決まっているきちんとした順番を経て、何もできない赤ちゃんがいろいろな能力を獲得していくこと、これが発達なのです。そしてここで大事なのは、この獲得されるほとんどすべての能力とは、「脳」の働きそのものなのです。
 
発達障害とは、この、大昔から決まっている順番で進んでいくはずの脳の発達が、生まれつきうまくいかないことです。ひとつだけがすっぽり抜け落ちている場合もあれば、いくつかの能力がまだらに抜け落ちていて部分的に発達ができにくい、遅れている状態を指します。ですから、医学的に言えば、例えば目だけが見えない視力障害も、脳の一つの部分の生まれつきの発達の障害ですから発達障害のカテゴリーに入れられるのです。
 
発達障害のある子どもでは特に乳幼児期の発達が盛んな時期に、決まっているはずの順番が飛んでいたり、入れ替わっていたり、なくなっていたり、遅れたりということが部分的に見られることが多くあります。はいはいの時期が全くなかった、歩き始めが早かった、しゃべり始めが遅かった、一度しゃべっていた言葉が消えた、いきなり難しい言葉をしゃべりだした、夜泣きのひどい時期があった、人見知りがなかった、など子どもによって様々ですが、発達のところどころに「おかしさ」が見られることが多いのです。しかし、いわゆる軽度発達障害の子どもの場合には3歳を過ぎたあたりから、言葉も普通に出だし、歩行も問題なくできるようになって一見なんの問題もないように見えてしまうことも往々にしてあります。ですから、乳幼児期に「おかしさ」「アンバランスさ」で気づかれて的確な診断を受けていないと、あとは小学校高学年になるまで、その障害の存在に気付かれずに育ってしまうこともありうるのです。