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子育て科学アクシスブログ


ホラーな話

上岡です。
先日、会員さんと「怖い話」で盛り上がりました。そこで今回はホラーな話です。
えぇ、上岡は季節のことなんか考えてやしません。先日まで花見な季節でしたが、今回はホラーです。

 
映画小僧だった私は、大学時代にホラー映画にはまりました。
とっかかりは『遊星からの物体X』」(1982)。
そこ以外では生きられない環境の南極基地内で、人の体内に隠れ住む物体Xと戦う南極隊員。いわば、密室の中で誰が敵なのか味方なのかわからない状況です。あれが自分の身に起きたらと………と恐怖におののきました。

 
次に『死霊のはらわた』(1981)。
お決まりのキャンプ地で展開するホラー映画で、死霊に憑かれた仲間がおどろおどろしい形相になり襲ってきます。夜間なので外に出ると危険となり、これまた密室です。で、なんやかんやあって、そいつを捕らえて倒そうとすると、おどろおどろしい姿からかつての仲間の姿に戻り、か細い声で「Help me …help me…」とか言うんですよ。
 
物体Xも死霊もやることが卑怯です。

登場人物は、「仲間を殺さなければいけないのか!?」という究極の決断を迫られるわけです。
そんな展開なので、追い込まれた人間の暗黒面も画面に映し出されます。
落語が人間のだらしない部分にスポットを当てるものならば、ホラーは一線を越えた人間の姿をあぶり出します。

 
そのホラー映画狂時代も次第に薄れていきました。
たくさんのホラー映画を鑑賞しましたが、「ほとんどのホラー映画が、『わっ!』と驚かすタイプばっかりなんだなぁ」と思ってしまったからです。大きな音とともに急に怪物が現れたり、動き出したり…。確かにこんなことされたら驚きはしますが怖くはありません。鑑賞後は疲れるだけで、以前のように「これが自分の身に降りかかったら!!」とどっぷりその世界に入り込ませてくれるような映画には出会わなくなりました。それから数年後の『リング』のようなジャパニーズホラーが私を再燃させてくれるのですが、反動でしょうか?それまでの間は、穏やかな人間ドラマばかりを見てました。

 
ホラー映画好きではありますが、実際、私は神秘的な体験には出くわしておりません。
中学時代に金縛りにあい、耳元で何者かに「…金本さんは…おらんかねぇ…」とささやかれました。
朝起きて、その出来事を思い出し、「斜め向いの家が金本さんだ!」と気づいたときは恐怖におののきました。
我が家は新興住宅地にあったので、「霊が迷って家を間違えたんだ!」と本気で思ってました。
数日後、抱えきれない恐怖体験を吐き出したくて友達にその話をし、一緒に背負ってもらおうと、2人で斜め向いの家に向かったところ、表札は「江原」さんでした。
なぜ江原さん家を金本さんと思ったかは怖い話ですが、この金縛り体験自体はなんのオチもない、しばらく友達に「うそつき」と言われたぐらいです。

 
しかし、昨年の夏は体験しました。本当の恐怖体験の渦中に放り込まれました。
とっても怖いお化け屋敷をプロディースしている五味弘文と言う方がおり、その方が東京ドームシティで『呪い指輪の家』というお化け屋敷をやっていると聞き、出かけていったわけです。
受付のお姉さんは淡々と「この屋敷内に居る、呪われた花嫁の指にこの指輪をはめてあげてください」ととんでもないことを言います。
これ、かなりへこみませんか?つまり、指輪をはめるために幽霊に近づかなければいけないわけですよ。
想像通り、屋敷内を指輪を片手に歩み出すと、様々なシュチィエ―ションが私の恐怖を刺激してきます。
例えば、長い廊下がありました。廊下の両サイドはカーテンで覆われてます。カーテンと地面との間には無数の指先が見えています。
「ど、どうせどれかの手が本物で、歩いてる私の足首を急にグっと掴むんだろうなぁ」と分かっていたって怖いです。
このえげつない予期不安の煽り方。この屋敷はこんな場所ばっかりです。とことん追い込まれていきます。
あの日あの時、映画の中の登場人物たちが極限に追い込まれたように、自分にそれが降りかかったらどうなるのか?どうなったのか?
それがこの屋敷体験でわかりました。
笑ってました。終始、私は笑ってました。勿論、楽しいからではなく怖すぎてです。怖い感情をなんとかしたく笑ってました。
大学時代、スピード狂の先輩のバイクの後ろに乗り、猛スピードで東京を駆け巡ったときもヘルメットをかぶった私はずっと笑ってました。
同じです。楽しいからではなく怖すぎてです。その感覚を振り払いたくて笑うのです。
私は物体Xや死霊を目の前にきっと笑うのです。そして保つのです。
追い込まれながらも終始笑っている映画の登場人物を見たら、応援したいと思います。

 
最後に小ネタを1つ。
「エクソシスト」(1973)と聞くと「怖いホラー映画でしょ、見ない!」と敬遠する方もいるでしょうが、エクソシストはアカデミー脚色賞をとっている作品なんですよ。

 
上岡